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人物画を描いてみよう

本書の第一章(人体のプロポーション(1)~人体の簡易骨格(2)まで)は他の章と若干異なり、実際の人物画を描くための基礎作りにあたる。イラストレーターがモデルを使わず絵を描く時や、アイディアのラフスケッチ、あるいは、ポーズや動きなどを他人に指示をする時等に役立つだろう。
イラストレーターはより完璧な絵を描くためには、遠近法や構成その他の問題でつまづかないよう、しっかりとした準備をする必要がある。この章が最も大事なのでしっかりと学んで欲しい。


P013

人物画とは


人物画とは絵画をはじめ、広告、新聞の漫画、ポスター、本の表紙画、など多岐に渡る。しかし作品の用途がなんであろうと人物画の根は同じだ。つまり良い人物画を描ける人間は、活躍の場がたくさん用意されているということだ。
また、人物画は題材が豊富で、興味深く、退屈しないジャンルだ。ファッションを描く事もできるし、マナーを伝える絵を描くこともできるし、人々を戦争に誘う事もできる。かつて画家は部屋に閉じこもり、リンゴを描いて満足していた時代があったけれど、現代では生活と絵を切り離す事はできない。
人々が関心を持つことは何か?どんなステレオタイプがいるか?怒りや笑い等、人の感情とリンクしたジェスチャーにはどんなものがあるか?どんな絵が人々を苛立たせるのか?
愛らしい子供の顔はどんな特徴あるのか?こんな問いを常にもち、答えを見つけ、絵を見る人に提示できるようにならなければならない。そのために常に周りをよく観察し、その経験を積み重ねていく必要がある。



観察をしよう


例えば女性を「観察」するとき、女性の髪型を気にするだけでは観察とは呼べない。なぜ正装した女性がスラックスやショートパンツをはいた時と全く違ってみえるのか?彼女が座った時ドレスはどんな形になるのか?こんな風に興味を持たなければならない。身振りや顔の表情をよーく見てみよう。女の子が「スゴーイ!」と言う時、手はどんなジェスチャーをしているだろうか?あるいは「あー疲れたぁ!」と椅子に座りこむとき、足はどうなるだろうか?母親が医者に子供の症状を心配そうに聞くとき、どんな表情をするだろうか?君が良い絵を描くためには、技術よりもこういう観察がモノを言うのだ。



売れるイラストレーターの法則


 売れたイラストレーターは、大抵なんらかの特別なフェティッシュや衝動を持ち、それが彼らを特徴づけている。
例えばハロルド・フォン・シュミットは、アウトドア生活や、馬、開拓時代、ドラマ、アクション等を愛しており、作品にもそれがよく表れている。
ハリー・アンダーソンは年寄りの医者、小さな白い小屋など、等身大のアメリカを好んで描く。
有名なノーマン・ロックウェルは年季の入った職人の腕や、古い革靴を愛している。
そして彼の人間に対するやさしいまなざしや確かな技術が彼の地位を不動のものにしている。
ジョン・ウイットコムやアル・パーカーが業界のトップでいられるのは、アメリカの若者を刺激的に描けるからだ。
クラーク兄弟は、西部開拓時代を好んで描き、そのジャンルでは最も成功している。モード・ファンゲルは子供をとても可愛く描く事ができる。
これらの人々は、強いフェティッシュを持ち、それを上手く描けるからこそ業界のトップにいるのである。



自らの観察と経験が重要


 キャリアを得るために有名なアーティストのアシスタントになることは全くオススメできない。
あまり意味がないからだ。ただ劣等感が募るばかりで、 いつのまにかモノマネ絵描きになってしまうだろう。
そのアーティストの仕事ぶりを見れば何か秘訣のようなものが得られると思っているだろうがそんなことはない。
あえて言うなら秘訣はそのアーティストのモノの考え方であり、本人でさえよく分かってないのかもしれない。
だから他人の仕事をただ眺めるよりも、自分で考える事が必要なのだ。
君が絵描きとしてどんな方向性で行くのか決める前に、自分が今までどういう人生を送ってきたかよく思いだしてみよう。
もし君が農家育ちなら、ニューヨークの生活を描くよりも農家の生活を描く方が成功しやすいだろう。
君の長い人生で得たものを馬鹿にしてはいけない。私たちは自分の育った環境をつまらないものとみなしがちだが、貧しい環境で育った絵描きは、そうでない絵描きが派手で豪華な家を描けるのと同じように、貧しい家を美しく描く事ができるのだ。



基本は同じ


 絵描きは要求に応じてどんなタイプの絵でも描けなければならない。もちろん得意なジャンルというのはしだいにわかってくるものだが、君がひとつのジャンルに縛られたくないのなら、広い視野を持って仕事に取り組むべきであろう。
全てのものにはプロポーション、質感、色彩、3次元(高さ、幅、奥行き)、光と影があるという原則を学び、風景、動物、あるいは特殊な質感の生地を描くといったような仕事でも、問題なくこなせるように準備しなければならない。
光の当たり具合によってどのようにモノの明度や色が変化するかを描くのは全ての基礎だから、君が観察する事を覚えれば何を描くにもそう難しい事はないはずだ。そして君が苦手な分野を研究することはいつだってできるし、絵描きというものは絵を描く時間と同じくらい、そういうものに時間を費やしているのである。



ヌードの重要性


 ヌードを描く事は、どんな人物画にも役に立つ。服や布で覆われた人間を描くには、その下の構造を知ることが必要なのである。
もし君がヌードを描くことを罪と考えるなら、美術の世界で生きていく事はすっぱりあきらめるべきだ。
私達は男性か女性かのどちらかで、両性の外見も構造も根本的に異なっているし、それらを知らずに人物画を描こうというのは馬鹿げている。
本当は生きたモデルから学ぶ必要があるが、この本ではモデルの代わりになるような絵をたくさん用意したつもりだ。



線と面


絵には線と面によるものがある。
線による絵とは…たとえば、建築デザインや縮尺図を含む、建物の見取り図のようなものがある。
面による絵は、モノの量感や立体感を紙に表現するものだ。前者は光と影を意識する必要はないが、後者は常に頭にいれておかねばならない。
といっても人物を平面的に、輪郭だけで描く事はできるし、立体感を示唆させることもできる。
だから、まず平面状に人体を描く。つまり、平面状に人体の比率から描き、それを立体におこし、陰影を描いて量感を出していく事は理にかなっているのである。
人間の目はモノの陰影よりもまずモノの輪郭から知覚する。
とは言ってもモノ自体に輪郭線があるわけではなく、一つの視点から見たモノのシルエットがあるだけであり、それをなんらかの形で表さなければならない。だから私たちは輪郭線を引くのである。輪郭線を描く事は本来、平面図のジャンルに属するのだが、光と影を用いる絵でもしばしば併用されるのだ。
 線と輪郭線の違いはハッキリと理解しておこう。線はいわゆる針金のようなものだが、輪郭線はモノの”端”である。
輪郭線は立方体の境界線のようにハッキリと表われるものもあれば、球のような次第に消えていくような境界線もある。
風景を眺めてみればわかるように、通常はあらゆる輪郭線同士が複雑に交わっている。しかし線画においてはある程度省略する事が必要だ。
<* 解説 *>
ここは少しわかりづらい内容ですが、次のページに出てくる平面図から人体をおこす方法について書いています。読み進めていくと後でわかると思うので今は気にしなくてよいと思います。



線の多彩な表現力


人物画を描く時は、二種類の線を使いこなそう。流れるようなリズム感のある線で輪郭線を描き、そして直線的かつ角張った線で立体と構造を表現しよう。
もし君が初心者で、ぎこちない線しか描けないとしても、線の太さを変える事はできる。明るい所は細い線で描いたり、あるいは全く描かない事で表現できる。濃い色の部分や、強調したい部分は太く、強めの線で描けばいい。
極細の線で輪郭線を描くのも面白い表現になるかもしれないね。
鉛筆を持って腕を振りながらそのまま紙に描いてみよう。リズミカルで自由な線が描けたはずだ。
今度は鉛筆を軽く握って優しく線を引きながらだんだん強く押し付けてみよう。強弱のついた線が描けたね。
じゃあ次は、線をまっすぐ引いてみて、うまくかけたらその下に同じようにまっすぐな線を引いてみよう。とても人工的なイメージの線になったと思う。
もし君が線を記号的なものでしかないと考えていたなら、線がこれほどにも豊かな表情を持つ事は大変な驚きなはずだ。
どんな種類の線を使うか考える事によって、君は個性を出す事ができる。もし君がスランプに陥ったならこの事を思い出して欲しい。



人体のプロポーション


それでは人物画の話をしよう。
理想的な人体のプロポーションとはどんなものだろうか。次ページの図を観て欲しい。
人体比率で便利な単位は“頭身”だ。理想的な頭身は8頭身だが、リアルな人間は7.5頭身くらいだろう。
だから別に8頭身にこだわる必要はない。次のページの図に色々な頭身を描いておいたので、よく研究し、必要に応じてプロポーションを変えられるように何度か模写して練習しておこう。
ひょっとしたら図を見てもっと足を長く描きたいと思う人がいるかもしれないが、実際には遠近法によって足先が下を向く事が多いので、その分足がもっと長く見えるはずだ。


<*解説*>これも次のページに出てくる人体のプロポーションの話です。



初心者の特徴


初心者の絵には似たような特徴がある。私はそれを調べ、以下にリスト化してみた。
初心者の君は自分の絵と見比べてみて、改善できるところがないか確かめてみよう。

1.絵が全体的に灰色がかっている
より濃い黒が出せるやわらかい鉛筆を用意し、絵の暗い部分を強くはっきり描こう。逆に、明るい部分は薄く描くか、紙地の白を利用し何も描かず残しておく。明るい部分の輪郭は太い線で描かない事。

2.細くごちゃごちゃした線を多用している
もっとはっきりと長いストロークの線を使おう。陰影を描く時は、チョンチョンとつついて描いたような小さい線ではなく、鉛筆を寝かせて芯の腹で描こう。

3.頭部における顔面の位置がおかしい
本書の頭部の描き方の項を参照。

4.絵がこすれて汚く、紙がよれていたり丸まっている
フィキサチーフ(定着液)を使う。薄い紙に描いたら厚い台紙に貼りつける。こすれないよう細心の注意を払い、もし絵を汚してしまったら最初からやり直そう。絵の具がついていない場所は練り消しをかけて綺麗にしておこう。

5.いろんな画材を併用しすぎている
一つの画材に絞ろう。油性クレヨンと鉛筆の併用や、パステルとその他の画材を併用しないこと。鉛筆なら鉛筆、クレヨンならクレヨンと、ひとつで全てを描けばいい。もちろん慣れてきたら画材の組み合わせは結構なことだが、初心者のうちはやめておいた方がいい。

6.色つきの紙を使う傾向
モノクロの絵や、澄んだ色彩の絵にしたいのなら白い紙に描くのが一番だ。もし色つき紙を使いたいのなら、それに調和した色を使おう。 例えばクリーム色や黄褐色の紙には赤や茶色のコンテを使うなど。

7.映画スターをモデルに描いた絵
初心者の絵でウンザリさせられるのがこのタイプ。この手の絵は絵画的な観点からすると好ましくないカゲのつけ方をするのも特徴の一つ。描くなら一般的に知られてない顔を描こう。

8.構図が悪い
もし君がビネットを描きたいのなら、趣があり魅力的にな構図になるよう注意を払うこと。四角形の紙に描くのなら、絵をはみ出さないようにすること。

9.チョークでハイライトを描くこと
よっぽど上手い人じゃないと失敗する。

10.面白みのない題材
キレイな服を描けば絵になるというわけではない。絵のテクニックを誇示するより、できるだけ目を引くような題材を探すことの方が大事だ。顔を描くならその特徴と表情をしっかり描こう。 それ以外でも魅力的なムードや、面白い動き、または感情を描くことに注力しよう。
< *解説* >
1について。鉛筆/木炭デッサンでは、立体感を出すためにより広い階調で描く事が求められます。つまり明るい所は明るく、暗い所はより暗く描くという事です。絵画全般の視点で言うと、明度対比のない絵(つまり明るい部分と暗い部分のメリハリが無い絵)はボンヤリしてて一般的によろしくないとされています。
ルーミス氏がどっちの意味で灰色がかってると言っているのかは管理人にはわかりません。
また、「明るい部分の輪郭線は細く」というのは、漫画でも同じ事が言えるのでプロの絵をよく見てみてください。
6と9について。色つきの画用紙と、ハイライト(最も明るい部分)をチョークで描く絵は欧米でよくみかけます。
8について。「ビネット」がどういうものか知りたい人はvignetted headで画像検索してみてください



水彩は難しい


水彩は多くの初心者が使いがちだが、もっとも難しい画材の一つだ。水彩はちょこまかとした、几帳面な筆使いでは駄目だ。大きく、大胆な筆使いを心がけよう。
水彩では偶然的な感覚、もしくは偶然的にできた色を上手く使おう。
まず塗る部分に水をひいてから塗ると良い。もちろん水彩専用紙を使うこと。柔らかくて水を吸収しやすい紙を使うと大変な事になる。できれば一度塗った場所に再度塗るのはやめた方がいい。
一般に水彩画家は鉛筆の線(特に透けて見えるような濃い線や陰影)が残るのを嫌う。画家によっては最初に基礎となる色を塗り、明るい部分はスポンジでぬぐい取り、暗い部分は更に塗り重ねる人もいる。

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まとめteみた.【人物画を描いてみよう】

本書の第一章(人体のプロポーション(1)〜人体の簡易骨格(2)まで)は他の章と若干異なり、実際の人物画をあたる。イラストレーターがモデルを使わず絵を描く時や、アイディアのラフス
[2012/04/10 20:16] URL まとめwoネタ速suru

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